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■福祉後退への批判
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インフォーマル・ケアの重視、ホームヘルパー制度の合理化など、政府が近年、福祉財政削減のために打ち出している諸政策に、多くの人が批判的です。
▼PRO(年金生活者全国組織団体)会長
「病院に連れていくとか、買い物など、ヘルパーがやってきた仕事をボランティアが担うことには反対です。ボランティアの活動はあくまでも社交面に限るべきです。
社会サービス法と保健・医療法で、人間らしい生活が法的に保障されています。公的ケアを基礎にすべきです。福祉の民営化を進めることは恐ろしいことだ。インフォーマル・ケアを増やすことに絶対に反対です。」
▼イエテボリ大学
ビルギッタ (バリイステン社会福祉学の助教授)
「インファーマル・ケアの担い手として、友人、近隣も含まれますが、やはり中核は家族です。家族がもっと高齢者のケアをすべきだとオープンに言われてきています。
しかしそれは、フェミニズムの観点からも問題です。もうすでに家族が、とりわけ女性が多くのインフォーマルケアを担っていのです。
現在、ほとんどの女性は外で働き、その上に家事や育児をこなし、今でさえも負担が多いのに、これ以上家族のケアを要求されてもできません。
その上、医療や福祉のフォーマル・ケアの担当は女性が多く、無料でする人が増えると、女性の働く職場がなくなります」
▼PRO(年金生活者全国組織団体)の職員
「高齢者福祉政策の後退は、女性問題に直結しています。最近、年金制度が改悪され、勤続年数が短い人は不利になり、長く専業主婦でいた女性ほど損をします」
▼カスターニェバッケンのサービスハウス
所長代理 アンネ・リー・エンクビスト
「スウェーデンが高福祉社会になり、人々は社会がなんでもしてくれて当然と考えるようになってきました。今、家族は、もう少し自分たちでできることをするべきだと思いますね」。
戦後の飛躍的な経済成長を背景にしてスウェーデンの福祉は発展しました。男女平等政策も推し進められてきました。
しかし現在、スウェーデンの財政は悪化し、福祉政策は後退を余儀なくされています。その中で、インファーマルケア、とりわけ家族によるケアに期待が寄せられてきています。
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