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■老親との関係
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一方、高齢者の経済的保障や身体的介護の責任は、国が担うべきだとされています。
スウェーデン社会では、結婚している子どもが親と同居して介護することは、社会的に期待されていません。
▼ヴィバンさん:90歳
「結婚している娘との同居は、考えたこともないね。ここは、私の家だし、ひとり暮らしが気楽でいいね。」
▼グレタさん:88歳
「数年前、手の骨折で病院に入院して、退院後、家に帰り、しばらくホーム・ヘルパーにきてもらいました。その時でも、息子の家族と住みたいとは思いませんでしたよ。」
65歳以上の高齢者のうち、9割以上が「一般住居」で生活を送っています。
子どもと同居している割合は5%以下で、ひとり暮らしが4割を占めています。
多くの親子は相互に訪問可能な範囲内に住み、頻繁な交流があります。
▼グレタさん:88歳
「ふたりの息子がいます。上の子は、毎週土曜日に、家族と買い物の帰りに立ち寄ります。下の息子の家族はもっと頻繁にきますよ。息子たちが、器具の故障を直したり、家の修繕などしてくれます。」
1977年の全国年金者実態調査によると、高齢者ケアでは、ホームヘルパーや訪問医療看護スタッフによるフォーマル・ケアとともに、配偶者や子どもなど家族によるインフォーマル・ケアも大きな役割を果たしています。
フォーマル・ケアでは家事援助的サービス、身辺介護的ケア、医療的ケアなどが行われ、インフォーマル・ケアでは公的援助機関への申請および調整や情緒的ケアが提供されています
フォーマル・ケアとインフォーマル・ケアはお互いに補完関係にあります。近くに親族が住み、その親族の援助を受けられる高齢者ほど、ホーム・ヘルパーのサービスを多く使っています。
▼イエテボリ大学
ビルギッタ バリイステン社会福祉学の助教授
「フォーマル・ケアがあることの利点は、子ども達が経済的な負担を負わなくていいことです。義務的にいろいろな介護をしなくていいので、親子はより精神的な絆で結ばれます。」
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