◆解説8:ADL

 「ADL(activities of daily living)」とは日常生活動作能力のことである。障害のある高齢者の残存能力を評価するために用いられるKatzのADL指標(Index of ADL)の自立項目は、@入浴、A衣服の着脱、Bトイレの使用(トイレへ行き、排泄、後始末、衣服を正す)、C移動、D排泄(失禁など)、E食事の6項目からなる。生活機能の自立度は以下の8段階から評定される。
 A:6項目全てが自立している
 B:1項目のみ自立できない
 C:入浴と他の1項目のみ自立できない
 D:入浴、着脱衣と他の1項目のみ自立できない
 E:入浴、着脱衣、Bトイレの使用と他の1項目のみ自立できない
 F:排泄、食事のいずれか一方のみ自立できている
 G:全ての項目が自立できていない
 その他:2項目以上自立できておらず、C〜Fのいずれにも当てはまらないもの




■関連項目 グループホーム

◆解説9:グループホームの職員人数

 クランパレガータンの老人性痴呆症のグループホームでは、図3のような職員配置で、職員は24時間体制で勤務している。 

図3 クランパレガータンのグループホームの職員配置
■関連項目 グループホーム


◆解説10:エーデル改革

 スウェーデンでは、80歳以上の後期高齢者が増加し、高齢者医療の経費が膨大になった。
 病院では、すでに治療が終了しても、病院にとどまるケースが多く出現した。これは在宅では充分な介護を受けられないこと、また病院では自己負担率が低く、在宅よりも経済的に有利であることが関連していた。また痴呆性老人の責任が不明瞭であったために、医療を担当する「県」と福祉を担当する「市」の間でたらい回しにされるケースも少なくなかった。
 後期高齢者の場合、初期医療と福祉に明確に分けられるものではない。高齢者医療費の増大を押さえ、高齢者の医療と福祉への責任を明確にするためにエーデル改革(delreformen)が行なわれ、医療(一部)と福祉の管轄は「市」に一元化された。これにより、医療中心から予防・生活援助への転換がはかられ、市民がより効率的なニーズに応じたサービスを受けられるようになった。
 しかし、全ての「市」において、エーデル改革がすぐに実行されたわけではない。福祉の最高責任者となった「市」の医療経験や能力の不足などの理由から、改革が遅れた「市」もあった。
 エーデル改革によって、教育方針の違いなどで、医療サイドと福祉サイドの間で摩擦が生じている。現在は、医療専門責任看護婦(MAS)を採用するなど、努力が払われている。


図4 医療と福祉の管轄の一元化
■関連項目 エーデル改革とケアつき住宅