◆解説13:親族等介護有給休業制度
 
 スウェーデンの親族等介護有給休業制度(N較staen de penning)で保障される日数は、1998年1月から年間最高60日間になる。その保障金額は要介護程度や介護のための休業日数により異なるが、最高金額は給与の80%。介護対象者は重病人であり、介護者は配偶者、父母、子、配偶者の父母、兄弟姉妹などの親族だけでなく、友人・隣人など広い範囲の人がなることができる。
 一方日本では、1995年10月に「育児・介護休業法」が施行された。「介護のための休業・労働時間短縮措置」を保障することが1999年3月まで事業主の「努力義務」に、それ以降は事業主の「実施義務」と規定される。休業期間は3カ月以内(連続)であるが、その間の所得は全くなく保障されない。介護対象者は要介護状態にある家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母、姉妹兄弟、孫など)に限定されている。



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◆解説14:PROと友愛サービス
 
 PRO(年金生活者全国組織団体)はスウェーデン最大の高齢者団体であり、全国で37万人の会員(高齢者の約25%が加入)からなっている。1942年に結成。会員資格は年金受給者であり、老人だけでなく、病人や障害者も含まれる。会員は、社民党の支持者が多く、会長はいつも社民党の党員である。
 その他の年金生活者団体として、穏健党の会員が多いSPF(会員数約16万人)、宗教団体のRPG(会員数4.5万人)などがある。
 PROヨーテボリ地区会長のオーロフ・ヤンソン(Olov Jansson)さんは、PROの目的や活動について次のように語る。「PROの目的は、年金生活者全体の利益になるような政治活動をすることで、それが私たちの権利であり義務であると思っています。税金問題や老人ホームやサービスハウスの建設および料金の引き下げなどについて、議会開催前の準備会で発言しています。市に対しても抗議集会をもちます。その他の活動としては、高齢者の交流を促進するためのものがあります。社会政治問題のサークル、コーラスや演劇などの文化サークル、スポーツのサークルなどの他に、在宅・施設の高齢者を訪問し、話し相手になるなどのボランティア活動である“友愛サービス”も行なっています。」



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◆解説15:ホームヘルパーの介護内容と平均時間

 80歳以上のホームヘルパーの利用状況について、介護内容ごとの1カ月あたりの平均時間を示したのが図5である。ヘルパーの使用時間は、1992年は1988年に比べて、「介護」は6倍に、「洗濯・衣服の手入れ」も若干増加しているが、その他の仕事内容項目では減少し、特に「掃除」や「買い物」は2分の1に激減している。介護内容の査定が厳しくなり、「洗濯」や「買い物」は削られているが、より介護を必要とする80歳以上の高齢者の増加により、平均使用時間の総計は、1988年は21.7時間、1992年は24.4時間で2.7時間増加している。

図5 ヘルパー使用の仕事内容別平均時間(1カ月)

資料:Stiftelsen ldrccentrum,ldre centrum,1993,No9

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